角田講師インタビュー②その1 | 18年間の活動の中で時代の変化を感じたこと、そしてIEはこれからも必要とされるのか。
18年間の活動の中で時代の変化を感じたこと、そしてIEはこれからも必要とされるのか。
平井
本日は日本能率協会コンサルティングのプロセス・デザイン革新センター長であり、生産革新プロフェッショナルコースの講師をお務めいただいている角田様に、事務局平井がお話をうかがいます。
よろしくお願いします。
角田
よろしくお願いします。
平井
まず、角田さんのこれまでの経歴から教えてください。
角田
私は1998年、日本能率協会コンサルティングに入社し、それからずっと生産領域のコンサルティングをしてきました。コンサルティング歴は18年になります。
平井
長らく生産領域のコンサルティング業務に従事されてきて、時代の変化を感じる場面はありますか。
角田
私自身がここ10年ぐらい海外へ行くことが増えました。
その際、日本企業の海外展開がすごく進み、海外が身近なものになったように感じました。
それと最近はICT、IoTなどインターネットの活用がトレンドになってきたと思います。
私がコンサルティングをやってきた中で大きな変化を感じたのは、グローバル展開とIoTなどインターネットの活用です。
平井
製造業に従事する方々も、そのような変化に即応していかなければなりません。
その際の課題として、どのようなものがあるのでしょうか。
角田
日本のものづくり産業が日本の国力を支えているというのが、私の持論です。
先ほど申し上げたグローバル展開をするにしても、日本式のマネジメントやものづくりの基本的な考え方であるIEの手法を使い、企業の発展につなげていくことが望ましいのではないでしょうか。
海外の拠点を上手に管理することも忘れてはなりません。
ICTやIoTを活用したところで、社内の人がゼロになることは基本的にありません。
IEが活躍できる舞台はまだまだたくさん残っているのではないかと思っています。
平井
グローバル化やIT化といった新たなキーワードが登場しても、根底で必要なことは変わらないとお考えなのですね。
角田
そう思います。
私は人が企業を支えていると考えます。
人の役割や仕事の内容に変化があっても、人がいなくなることは基本的にないでしょう。
だから、人の生産性をどう高めていくかは、永遠の課題でないかと考えているのです。
IEはこれからも必要とされるのか?
平井
先ほどキーワードとして登場した「IE」について、もう少し詳しくお話を聞きたいのですが、「IE」とは、どのような手法なのか簡単に教えていただけますか。
角田
ものすごく分かりやすくいってしまうと、生産システムや生産を構成する要素をいかに効率のよい仕組みにするか、そしてそれをどれほど効率よく運営するかを追求するのがIEです。
具体的にいえば、人を対象として分析し、改善案を作る手法です。
平井
普遍的な手法ということでしょうか。
角田
もう何十年も続いている手法ですから、そう考えてもいいでしょう。
平井
先ほどご説明いただいたように、取り組まなくてはいけないテーマは多岐に渡り、また数年前では考えられないような状況になっていると思います。そうした中でも、IEは今後も必要になるのでしょうか。
角田
難しい質問ですが、多分必要だと思います。ただ、その使い方は変わってくるでしょう。
例えば、今までのIEは人が現場に出て記録を取ったり、ストップウォッチで測ったりしていました。
そういうデータを取ること自体はどんどんIT化され、センサーなどを使用する方向に世の中が変わっていくでしょう。
しかし、取ってきたデータの見方は、IEの中にある改善の着想、視点が普遍的に使えると思います。
使い方が変わっていっても、考え方や基本的な原理は残っていくと考えています。
平井
製造現場で、昨今求められる知識というのは、どういったものだとお考えですか。
角田
難しいですね。
このコースもそうなのですが、生産だけでなく、開発や調達、その後の物流、生産管理など製造を取り巻く周辺のことまでよく知っておかないといけなくなるのではないでしょうか。
情報のやり取りがスピードアップし、量も多くなります。
それらを自分で吸収して消化していくためには、幅広い知識が必要です。
これまでより広い視野でものを見て、ちゃんと論理立てて考えることが必要になってくるはずです。
次回に続く。