日清紡ブレーキインタビューその8|間接部門へのIE活用をどうする?
2018年度生産革新プロフェッショナルコース受講者 日清紡ブレーキ 河邉様に日本能率協会 松澤がインタビューしました。
間接部門へのIE活用をどうする?
松澤
以前にお世話になった方から、IEは製造現場だけでなく間接部門でも使えるものだから、様々な部門への研修として展開を考えるべきだといわれました。
数値化して無駄がどこにあるかを見つけ、どの作業にどれだけの時間がかかっているのかを把握することは、製造ラインだけの話ではないのですね。
河邊
おっしゃる通りだと思います。
間接部門や事務系のデスクワークは、ある意味“聖域”のようになっている感じがします。
再びものづくり総合大会の話になってしまいますが、とあるセッションで現場の職長が1日に何をしているのか、細かく調べた結果が紹介されました。
その結果、朝礼や帳簿作成などに多くの時間を費やし、本来時間を割いてほしい改善業務や物事を考えることに充てる時間が意外に少ないことが分かったそうです。
単純作業や書類作成などの時間を減らし、人間でないとできないことへ時間を充てるようにした取り組みでした。
これもある意味、IEで学習した現状分析の考え方ですよね。
現場の職長に限らず、間接部門やあるいはデスクワークの働き方もIEによって効率的になるかもしれません。
松澤
私が自分の業務を時間軸で振り返ると、すごく無駄がありそうな気がして、恥ずかしくなります。
河邊
確かにそうですね。それは自分も同じです(笑)。
あと、生産技術と調達業務の関わり方は今まで思いもよらなかったことなので、大きな“気づき”がありました。
小野さんが3日目に講義した内容です。
製品によっては原料費(部品調達費)の比率が高いものがあります。特に組立系のものづくりはその代表例だと思います。
部品を調達し組立てる製品の場合、部品調達がコストダウンに大きく影響します。
歩留まりがどれだけ上がったとか、不良率をいくら下げたということより、実は部品調達費の方が原価に大きな影響を与えることもあります。
文系と理系で分けるのが正しいかどうか分かりませんが、一般的に調達部門は文系出身の方が多いようです。
松澤
おっしゃる通りです。
河邊
講義は生産技術の視点から調達部品の原価構成を見極め、価格交渉を進めていくという内容でしたが、いわゆる文系出身の調達部門の方にとっては技術的な内容を敷居が高いと感じてしまうのではないか、と個人的には懸念しています。
また、調達の人間が生産技術を勉強すべきなのか、あるいは生産技術の人間が調達に関与していくべきなのか、という課題もあります。
講義で学んだ内容を実践に移す場合、そのあたりが悩みどころなのではないかと感じています。
松澤
先ほども少し触れましたが、日本能率協会でIEをテーマとしたオンラインセミナー(e-learning)があります。こちらを昨年秋にリニューアルした際、1カ月だけ無料で視聴できるキャンペーンを実施しました。セミナーのテーマはIEの基礎なのに、調達部門の方から申し込みが多かったのです。それは何故だろうと内部で話し合っていた際に、とあるお会社の調達部門の方の受講理由が「サプライヤーとの共同改善をしようにも調達先の話が全く分からないため、IEをしっかりと学ぼうと思った」ということのようでした。
河邊
そういう危機感を感じるということは、調達の役割が見直されているからでしょう。
単なる値切り交渉ではなく、理詰めで交渉を進める必要があります。
価格交渉という点でいえば、当社はサプライヤーに対しては査定する側であり、一方で客先からは査定される側でもあります。
査定する側がどういう視点でこちらを見ているのかを知っておくことは重要かもしれません。
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