東京電力インタビュー|電力会社にIEって必要なのですか?
2017年度生産革新プロフェッショナルコース受講者 東京電力ホールディングス 谷口 正洋様(経営企画ユニット グループ事業管理室 調達管理グループ 能力開発担当課長)に日本能率協会 松澤がインタビューしました。
電力会社にIEって必要なのですか?
松澤
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
まずは、谷口さんが現在携わっておられるお仕事について教えてください。
谷口
東京電力ホールディングスという会社で、傘下のカンパニー本社含め全体で250人くらいの調達部門の社員の研修・育成を担当しています。
東京電力グループとしてホールディングスのほかに、火力発電をするフュエル&パワー、送電や変電、配電を受け持つパワーグリッド、市販品を調達するビジネスソリューション、福島第一原発の廃炉を推進するカンパニーなどがあり、各カンパニーの本社に調達センターが存在しています。
東京電力グループの調達活動は、主に火力や原子力などの発電設備、送配電、変電の設備、お客さまに電気を届ける設備などの購入、メンテナンスの工事契約などです。
設計の委託などの調達もしています。
内容は、プラントから変圧器、電柱まで幅が広く、建物の建築工事、設備の基礎の土木工事なども調達します。
こういった仕事をしている人たちの研修の企画、実施をしています。
最近、業務の高度化にともない、研修の見直しを進めています。
その第一弾として 部長以下 全員に能率協会さんのCPP調達プロフェッショナル試験で 基礎知識を学んでもらっています。
その後の、専門スキルを勉強してもらう構想は、検討とトライアルを進めています。
現在は、この研修メニュー構想をつめており、社内講師も同時に育成予定の状況です。
IEも、専門メニュー構想のなかに入れており、自分も含めて講師を育成しなければと、考えています。
松澤
谷口さんのお名前は、部内で良くお伺いしていました。「調達をご担当されておられる方」というイメージが大変強く、今でも覚えているのが2017年の6月か7月でしたかね。「早期申込割引期間を延長して欲しかったら問合せしろ」といったような結構乱暴なメールマガジンを送って、それに谷口さんからお問い合わせをいただいたのですが、「IEの研修ですけど、違う研修に問合せしていませんか!?」とびっくりした記憶があります。
谷口
調達の試験のCPPの件で、松澤さんの部署の方に大変お世話になりましたので、悪い噂じゃないといいなあ(笑)。
IEは生産関係の方が主に受講されると思うので、調達からの問い合わせは変だと思われたでしょうかねえ?
電力会社は、電力を発電送電配電するための運転会社です。
設備の増強・取り換えや、メンテナンスは、おもに外注しており、増強するための製品や取り換えのための製品を取引先から購入しているので、取引先の製品原価を下げることで、減価償却費を下げることができ、使っていただいている電気料金をなるべく安く維持できます。
電力の取引先は、どんなところかと言いますと通信で使用電力量が測定でき遠隔操作できるスマートメーターや、遠隔操作できる開閉器など、技術が進んでいる分野では、一流電機メーカーと取引してますが、電柱周りの腕金や金具など昔ながらの中小企業も多いです。
取引先同士の競争で原価が下がる分野もありますが、すでに激しい競争のあとで、そこからは競争だけでは下がらない分野もあります。
そういう分野では、取引先と共同改善で、原価を改善する活動をしています。
特に中小企業だと、すでにカイゼンスキルに熟練した高齢者が引退しているので電力の調達マン=バイヤーがリードすることになってきています。
まずは、発注量の平準化を図るとか、品種を減らしてロットを増やすとか、電力側で可能ところから開始していますが、最近では、作り方や、作っている物自体の見直しも取引先と一緒になって実施しないと原価が下がらなくなってきました。
そのため、IEがバイヤーにも必要になってきています。
たしかに、メーカーさんが、自社工場の原価改善に取り組むためにIEに取り組むというのが直接的でわかりやすい。
取引先の製品の原価を下げるためにIEに取り組んでいるという電力会社の取り組み方は、わかりづらいかもしれませんね。
もう少し、電力産業の状況をお話ししましょう。
拡大している産業の場合は、新規のサプライヤーがどんどん参入してくるので、調達の人=バイヤーは仕事しやすいと思います。
電力産業もエジソンのころから原子力発電所ができるまでは、技術革新の進む速度はとても早かったのです。市場がどんどん伸びていたから、新しい会社がどんどん入ってきて、昔は競争もありました。ですが現在は、電気は皆が使ってくれるけれど効率よく使うようになったために、それほど総量は伸びなくなりました。電気を創るための設備も更新をしていないので、魅力的な売り先ではありません。取引先からすると、どんどん売れて設備をつくる自動車メーカーなら魅力的なわけです。
松澤
新規参入があまりなく、競争が生まれないということですね。
谷口
昔ほど調達するときの競争が激化しなくなりました。今は電気代をもっと下げてくれというような話もたくさんあるのですが、電気を送る設備を作る際に単にA社、B社、C社と選んで、いくらになりますか?と尋ねているだけでは設備の価格が下がらないのです。
そこでIEが登場するわけです。
講師の方々もおっしゃっていましたが、QCやIE、VEは、改善の手法で、三つともできなくてはいけないのですが、僕らが、そういうのをかいつまんで自分たちが使える話にする際に、やはりIEだなとなります。トヨタ改善が色んな会社に入っていますが、結局根本はIEなのです。
松澤
A社、B社に相見積もりをとって価格競争を起こすのではなくて、それぞれの作る工程に乗り込んで一緒にコスト改善をすることで、モノそのもののコストをそもそも下げようということですね。
谷口
その通りです。我々がその設備をつくるコストを下げられれば、結局減価償却費用も落とせるので、電気料金も安くできます。
この研修に参加しようと思ったのはなぜ?
松澤
昨年このコースのプログラムとして、トヨタ自動車生技管理部の井上様にご支援をいただき、高岡工場を見学しました。事務局レポートを井上さまに確認していただいた際に「トヨタではIEが浸透していて、IEと言う言葉は使わない。イコールトヨタ生産方式である」とおっしゃっておられました。
現在の業務について教えていただいたところで、業務の課題や、この研修に参加しようとお考えいただいた経緯について教えていただけますでしょうか。
谷口
調達部門は、コストリダクションを進めてなくてはいけません。
先ほども触れたように、競争調達で、原価低減を達成できる分野もあれば、取引先メーカーさんと共同改善して、原価改善していかなければならない分野もあります。
私も以前からこの共同改善のために、メーカーさんに通っているのですが、立場の違いなのか、言葉の違いなのか、意図したことが、きちんと伝わっていないと感じる場面が、多々ありました。
意思疎通のむずかしさは、原価改善のプロジェクトの結果に響くため、できるだけ細かく丁寧に内容を伝える努力をしてきたのですが、やはり、数社の経験の中で、結果はでても、違和感は残ったままでした。
そのために、メーカーさんの仕事のやり方や考え方を、一度、丸呑みしてみようと思い、メーカーさんの工場の疑似体験をしてみることにしたのです。
たとえば、工場長さんが受験する資格のCPFのテキストを購入して勉強して、受験して資格を取得したり、生産技術者の資格のCPEのテキストを購入して勉強など。
勉強を進める中で、どうも生産技術者と調達のバイヤーは、注目している指標や考え方が異なるようだと、ぼんやりわかってきました。
一度メーカーの人たちと一緒に、ざっくばらんに話してみたいと思ったのですが、調達先と、一緒にお酒を飲んで語るような機会はバイヤーの場合、癒着を疑われることもあり難しかったため、情報収集の方法を探していました。
一方で、同時期に調達部門の研修の抜本的見直しを開始していました。
私がたたき台を作成したのですが、現在調達部門の部員が受験する能率協会の調達プロフェッショナルのCPP資格の上に専門資格を積み上げていこうという構想をつくり、その中でIEについてもバイヤーが身に着けるべき専門スキルの一つと考えていました。
バイヤーとして個人的には、共同改善のなかでIEの手法を活用し、原価改善に活かしていたのですが、文献から得た知識を基にした自己流のものだったので、後輩に伝承するということを考えた際に改めて勉強したいと思ったのです。
そこで、IE協会や 能率協会等にコンタクトをしてセミナーや講習の情報を収集していた時に松澤さんに出会って、能率協会のプログラムを知りました。
開講前の松澤さんの話では能率協会の研修では 弊社の取引と関係のないメーカーの人たちとの懇親会もあり、長期の研修なので、そのなかで仲良くなって、ざっくばらんに話もできるようになるほか、フォローアップとしてIEのオンライン講座を受けられるし、さらに、インストラクター用のマニュアルも、もらえるとの話だったので魅力を感じました。
また、これまでに参加した企業名を見ても、一流企業の方々が参加していて、自分の改善手法のスキルが、一流メーカーの人たちのスキルに対してどのくらいのものか、ベンチマークもできるという点も魅力に感じました。自分のニーズにバッチリ合致しており、受講したいと思ったのはそんなところです。
松澤
過分な言葉をありがとうございます。この研修は10月から12月まで3か月間、2週間に1度のペースで通っていただく研修です。全10回、費用も安くありません。ニーズにはあった、ぜひ参加したい!とお考えいただいてから実際にお申込みまでに、ハードルはありませんでしたか?もしあった場合は、何が障壁となっていたのでしょうか。
谷口
遠方の工場の人は移動も大変だし、場所によっては前泊の人もいましたよね。
東京で10日という研修の時間を、ひねり出すのが大変だったと思います。私は職場も東京なので講座の日だけ開けておけばよいというのはよかったです。
受講する前は、内容を体験してないので、価格が一番のネックでした。
業務上のニーズはありましたが、昨年の状況としてはIEに関する教育を全面展開という段階に入っておらず、ごく一部の人に文献を頼りに教えて共同改善プロジェクトを実施、といった状況でしたし、この研修を見つけたのは期中でしたので、会社の補正予算を得るのも難しい状況でした。自分自身が能力開発担当で権限はありましたが、金額が金額なので、自分で企画して会社にお金を出してもらったのに、十分にフィードバックできないという可能性も否定できませんでした。
そこで、まずは自費で体験して内容を確認したうえで研修の内容が良かったら、研修計画の見直しと共に中期計画の予算にビルトインするようにワークしたほうが良いと考えたのです。そのほうが、説得力が増すと思いました。
予算としては、30代からインプレッショニスツというバンドで制作している6枚目のCDの製作費を取り崩しました。
現在は後輩たちのために、本講座を将来の研修体系に盛り込むための根回しワーク中です。
松澤
並々ならぬ覚悟と期待をもってこの研修にご参加いただきました。ありがとうございます。
先ほど、他団体の名前も出ましたが、「IE」をテーマとした研修はJMA以外でも開催されています。また、JMAで1日完結型のセミナーも展開しています。他の研修と比べた時に、自費でもいいから参加したいと魅力を感じて下さったのはどういった点だったのでしょうか。
谷口
さきほど、お話ししたように共同改善のために、メーカーさんに通っているのですが、立場の違いなのか、言葉の違いなのか、意図したことが、きちんと伝わっていないなと感じる場面が、多々ありました。
私たちは結局調達側なので「製品価格が最終的に5%減、10%減」等を目指して営業さんには話をします。営業さんは調達の人間と常々接しているので、ある程度理解をしてもらえますが、実際に工場改善となると調達の自分たちではきちんと説明しきれないのです。
その意思疎通の悪さは、原価改善のプロジェクトの結果に響くため、出来るだけ細かく丁寧に内容を伝える努力をしてきたのですが、やはり、数社の経験の中で、結果は出ても、違和感は残ったままでした。
その点では、直接疑問を解消できる一流メーカーのひとの考え方がわかるという点が一番の魅力です。
私は、メンテナンス工事業者に出向していたことがあります。
建設工事は、実行予算制度という枠組みで動いていて、業界では、その業界の言葉で話さないと伝わらないのです。
メーカーから派遣されている受講生に直接いろいろ話してみたところ、工場の人には、コストダウン率で話すより生産性で話したほうが伝わりやすいということが、わかりました。
コストは下げるものなのだが、生産性は上げるもので、より積極的なものなのです。こういった点は、研修生同士で、話してみないとわからないですよね。共同改善で、壁にあたっているバイヤーには、他の受講者との意見交換が本当に役に立ちました。
いろいろな疑問が氷解しました。
また、生産革新については概念論だけではなくて、ケーススタディに基づいて、自分たちでケースの会社の経営層にプレゼンする内容を、検討・作成するというものだったので実践的な手法を学ぶことができました。
そして、実践するということは、手法を理解しないといけないので知識も同時並行で習得できました。
まさに、実務でおこなっている共同改善を、自己流の方法よりも、さらに効果的な方法を見つけながら、追体験できるという点が、よいと思います。
研修を実際に受けてみて持った感想は?
松澤
ありがとうございます。
御社の会議室に伺って説明させていただいた記憶があります。研修が始まる前に持っていた印象についても教えていただけますか。
また、もしその印象が研修開始後に変わったということがあれば合せてご教示ください。
谷口
松澤さんからは、生産・製造に関する知識について幅広く学べると聞いていましたが、事前フォロー特典でついていたIEオンラインセミナーを視聴した時のイメージが強く残り、研修が始まる前は『やっぱりIEの手法の習得が中心なのかな?松澤さんから聞いた話と違うことになるのかな?』と誤解してしまっていました。
実際に研修が始まると、生産の面から見た企業戦略の話、メーカーとしていかに生産面で強みを作るか、SCMの資金回収の話など、生産だけではなくて構内物流、トヨタカイゼンの話等非常に幅広く多岐にわたっていて、楽しい内容でした。
特に、2日目の石田講師の講義が良かったです。
私は、調達の仕事以外にも 新規事業の企画・立ち上げも15年程経験しました。再保険会社の社長、自然エネルギー会社の取締役、メンテナンス工事会社の新規事業担当、コールセンター会社の企画部長等、いろいろな経験をしたあとで調達の仕事をしているので、メーカーの経営戦略の話は、非常に面白かったですね。
IEの話だけだとコストの話にかなり近い感じですが、垂直立上げや経営戦略の話も大切ですからね。
この経営戦略の話がなければ、調達担当者が提示するコストダウン率と、それを受けてメーカーさん側が企画する生産性向上の話の間の齟齬には、気付けなかったかもしれません。あとは、角田講師の生産システムの講義も面白かったです。
工場見学会で見学したトヨタの話や、構内物流をしっかりやるべき、バックオフィスの強化等多岐に渡るポイントについて解説してもらいました。
また、協力メーカーさんの工場に共同改善で伺うと一般的な情勢についての雑談もすることになるので、そのときの小ネタにも、使えるような話が満載だったのもよかったです。
あと、講師の方々のQAや話の振り方が上手いので退屈しません。伊庭講師には、どんどん質問をあてられます。ですから、疲れている中で研修を受講するのですが講義中眠くなりませんでしたね。皆さんのQAを聞いていると、受講者の優秀さや、各社のエースが来ていることがわかりました。
松澤
研修の内容は難しかったですか?
谷口
思っていたより、講座の範囲は幅広かったです。
IEだけでなくメーカーの経営戦略から構内物流まで、ワイドですよね。
メーカーの人の考えに合わせてみようと事前に、CPF資格の取得やトヨタ改善の実践をしていたので、用語だけはそれなりに追いつけていたかなと思いますが、もちろんわからないこともありました。
わからないことは講師に積極的に質問しました。講義が終わった後にテキストを読み返してわからないと思ったことは講師にメールをして質問もよくしていました。だいたいメールを送った翌日には返信をいただけました。通算で、10通以上メールで質問したように思います。
メーカーの人を取り巻く情勢について一通りの知識を得ることができて、わからないことについては講師にも質問できるので、取引先メーカーとの共同改善に取り組んでいるバイヤーさんは恐れずに、挑戦してほしいです。
この講座を経験すると、どの協力メーカーさんに行ってもなんとかなると思います。
難しかったのは、実は、卒業試験対策です。受講者のうちの最高齢53歳での暗記ですから、最初から難しいと思っていました。
試験は、選択式で暗記が必要なテストです。暗記テストは社会人に不要ではないか、と言う人もいますが、合格したからではなく経験から言って、必要です。能の守破離のとおり、いったん、知識をモノマネする過程が必要なので、暗記することが必要なのです。
松澤
概念として知っていたとしても、ご自身特有の言葉も結構あるので、教科書的な知識としてスタンダードな言い方はこうだ、というものをしっかり身に着けていただくことは大事だと思います。
谷口
テストの内容については、伊庭講師が範囲を説明してくれるので、きちんと勉強時間を確保できれば、大丈夫です。
ただし、さぼると、落ちると思います。自分は53歳だったので、自分で問題を作って、8回くらい、回しました。
松澤
谷口さんの試験対策ノートが出回っていたと伺いました。
谷口
もしこのノートを後輩に渡したとしても、勉強しないと言葉の羅列でしかないのでやっぱり勉強して理解する必要はありますね。
チームで話していたときに工場用語の「キット化」いう言葉が出てきました。実際に自分が共同改善に伺って説明するときに、「これはキット化とかキッティングとほかの会社では言うらしい」と言うと、それだけで話が通じるようになります。そういう点でも、結構色々な会社の略語が飛んできたのは良かったと思いますよ。
研修期間中、印象に残っていることは?
松澤:研修期間中最も印象に残っていることについても教えてください。
谷口
メーカーの優秀な改善マンのなかで自分の知識はどれくらいなのか知りたいと思っていたので腕試しのつもりもありました。
でも、皆さん優秀なので、ケーススタディを一緒にできて卒業試験に合格できれば、大したもんだよ、という意識でしたね。
このコースでは先ほどもお話ししたようにケーススタデイに取り組みます。ケースに記載されている工場の生産性向上のために改善を提案するというものです。私のチームは4人でしたが、チーム作業に移行したら、一流メーカーさんの改善マンは、流石だな、と思いました。
「うちのチームは一番を取ろう」「受講したからには一番を取ろう」というのです。
すごいこと言うなあ、おおっと思いました。
そうですよね、よくよく考えれば、社内で改善提案の、優劣をつけている人たちだからポイントは習得していますもんね。
提案資料を作り始めると各社のエースが来ているので、ケーススタディの分析も的確だし、誰がどの部分に強いか、得手不得手もお互いにすぐわかります。分析や、パワポの分担もすぐ決まります。
メンバーそれぞれ、お互いに意見をすり合わせましたからパワポ一枚一枚に思い出があります。
私が作成したパワポの1つはコンサルとして、ある会社を支援するときにその会社に採用してほしい推進体制のパワポでした。
わたしは、チームのまとめ役の人が非常に熱心なので推進体制の事務局に、その人のような人、と記載して、ウケを狙う作戦にでました。
それで、同じチームメンバーには、ウケたはずなのですが、まとめ役からは、ある人の名前に変更になって戻ってきて、本番では、さらにウケることとなりました。変更になった名前の人は、我々以上に頑張っていた人だとみんなが気づいていたから、ウケたのだと思います。
ウケたので、一位をゲットできました。
松澤
谷口さんのチームはもちろん、どのチームも和気藹々とディスカッションを進めている様子でとても楽しそうでした。
ちゃっかり事務局の私の名前を記載いただいてしまいました。事務局として大変うれしかったです。
チーム編成は、講師と事務局で相談して、IEの知識がある方、あまりない方、製造現場でのご経験が長い方等バランスがよくなるように差配しました。ずばり研修に参加して良かったですか?研修で学んだことで、現在の業務の中で実際に活用することが出来ているな、と思うポイントについても教えてください。
谷口
グループ演習、楽しかったです。皆さん忙しい人たちだからこそ研修のときは統率がとれて仲良く打ち解けられました。
ズバリ、参加してよかったです。受講前に調達の側と協力メーカーさんの考え方の違いという事前に抱いていた疑問が解けましたし、IEの標準的な方法も身に付けることができました。
IEの手法の使い方、つまり「こういう場合に、こういう手法を使う」等の場合分け、つながり、使い方が一番大切ですが、こういう点も身に付けることができました。工場を取り巻く常識的な用語も身に付いたので、業務の中で活きています。以前は私の一方的な希望だけ伝えていて、工場の中でどのように伝わるのかといったことは全く考慮せずにはなしていたので、翻訳が大変だったのではないですかと思います。今は、時間数や生産性と言う指標を持てるようになったので、よかったですね。
あとは、第6単位で実際にインストラクターの体験をできるプログラムがありました。一人20分で講師体験をするというものでしたが、自分が講師をしている様子を撮影してくれるので、自分の話の癖もわかってよかったです。
あの~というのが癖だとわかったのですが、自信がないように見えるので直そうと思っています。
カイゼンや研修方法について、質問できる友人が、できたのもよかったです。講師の先生も、フレンドリーでものづくり大会のときの飲み会にも来てくれましたね。
本当は2018年の6月頃に計画したいと考えていたのですが、自身の人事異動等もあり実現していませんが・・工場見学ツアーをしようという声もありました。ということで、苦しい卒業試験対策を除けば、良いことばかりでしたよ。
また、日本の一流メーカーの優秀なカイゼンマンと一緒に受講でき卒業できたことが自信になりました。
なんてったって、グループで、一位をゲットしましたし。あははは。
IEの教材についても 良いものを紹介してもらえたので自分が講師となり、これからIEの研修を立ち上げようと考えています。
これまでは、自己流だったので、必要な人にOJTの形式で細々教えていましたが、これからは多人数に展開していきたいです。
自分の改善のスキルが上がったのですでに、カイゼンに困っているメーカーさんには、個別に、勉強したことをお知らせし始めています。
とはいっても、調達側と協力メーカーさん側との考え方の違いはあるので、共同改善の支障にならないように、共同の勉強会などで伝えていきたいですね。
松澤
ありがとうございます。
今後は研修で学んだことを谷口さんが伝道師として広めていくお役目がありますね。
谷口
そういう意味では、私たちは、メーカーではないので、工場に、いつでも見に行ける状況にありません。
なので、今考えているのは、大人数に対する講義形式の研修です。これまでは先ほどもふれましたが、本当にごく少数に限ってOJTの形式でIEの本を片手に「こんなふうにしてやるのだよ」と言う話しかできませんでした。
今回、研修で使ったDVD教材も購入させてもらったので、いったんこのDVD教材でイメージを掴んでもらってそれから今回の講師の先生たちにどういう場合にどういう手法を使えばよいか教えてもらったことを展開していけたら良いなと考えています。コースの特典でいただいた講師マニュアルとうまく組み合わせて活用していきたいですね。
その後に、各人が、協力企業と、共同改善を実施するという段取りが良いと考えています。
松澤
この研修は、どういう人にこの研修を進めたいでしょうか。コストや期間等、なかなか参加にあたってのハードルは高い研修だと思います。受講したい、もしくは部下に受講させたいと考えている人の背中を押すようなコメントを・・・
谷口
調達部門の人で共同改善活動を実践しているんだけれども、メーカーの人との間に壁を感じている人、もっとスムーズに共同改善をしたい人、そして、共同改善のスキルの腕試しをしてみたい人、日本の一流企業のカイゼンマンと切磋琢磨して、すごさを体験したい人に おすすめの研修です。
調達部門の人が、国内の協力工場と共同改善をすすめていければ日本の国際競争力も さらに強化できると思うのです。
だから、バイヤーさんはどんどん参加して、取引先と共同でどんどんIEを活用して改善を進めたほうがよいです。
値下げ要請だけではなく、買う側もアイデアを出し、手法をお伝えして改善を進めないと、コストが下がっていきません。
いま、巷で進んでいる働き方改革とは、お互いに協力して、生産性を高めて、空いた時間で付加価値のアップを考えて、さらに生産性を高めることが目的ですから、改善をどんどん進めたいです。
AIの使いかたも考える必要があります。調達の仕事でも請求書などの審査については省力化を目的に、AIを活用し始めました。AIなどのマシンの使い方、人間との共存の方法も、IEを通じて考えることになるので、応用範囲は広いです。
いろんなカイゼンの研修プログラムがありますが、この研修はベストの1つだと思います。
いろんなことを考える機会がありました。
VE、QC、企業戦略、SCMも包含して、素晴らしい内容になっていますが、引き続き、講座の内容の見直しを継続して、生産革新についての、ベストの講座の位置をキープしていただけると、卒業生として、ありがたいです。
松澤
貴重なお話をいただきありがとうございました。