オムロン インタビュー1:オートメーションで「よりよい社会」をつくる。発展の求心力は創業から変わらない考え方

オムロン株式会社 IABカンパニー 生産SCM本部 生産革新センタ 生産技術部 鍋島 広昭 様に、
「生産革新プロフェッショナルコース」受講の背景やご活用についてお伺いしました。

(※以降敬称略、所属・役職は2023年1月19日時点)

オートメーションで「よりよい社会」をつくる。発展の求心力は創業から変わらない考え方

国部:
まずは、御社について教えてください。

鍋島:
オムロンは京都に本社を置き、約120の国と地域で約3万人の社員を擁す、売上高約7,600億円規模の会社です。制御機器事業を中心に、電子部品事業、社会システム事業、ヘルスケア事業を展開しています。
企業理念である「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を社員に根付かせ、発展の原動力にしています。理念の根幹には未来の社会ニーズを予測する「サイニック(SINIC)理論」があり、オムロンの基軸、羅針盤になっています。

国部:
ずばり御社の強みは?

鍋島:
弊社の製品は、近接スイッチやリレーから始まり、ロボットやPLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)の制御システムへ発展していきました。様々な製品を世に送り出していく中で、労働力不足解消のためのオートメーションのニーズに対し、未来を見据えたイノベーションを生み出し、価値を創造し、よりよい社会の実現に貢献している点が、弊社の大きな強みです。

国部:
社会貢献への意識が、社員の皆様に浸透しているのですね。

鍋島:
会社全体で社会的課題に目を向けた活動を推進しています。最近ではESGの取組みの一環として、再生可能エネルギーの電力を使用する宣言を行いました。新たな長期ビジョンの制定や新社長の発表もあり、体制も進化しています。

国部:
製品・技術もさらに発展しているようですね。

鍋島:
PLCを動かす機器や、シミュレーション技術を通じてより簡単に自動化できるような製品を生み出しています。

国部:
鍋島さんは、どちらの事業部に所属されているのでしょうか。

鍋島:
制御機器事業のIAB(インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー)に所属しています。

国部:
IAB自体が一つの会社のような規模でありオムロンの屋台骨にもなっているのですね。

鍋島:
そうですね。IABの事業でグループ売上構成比の60%を占めています。

国部:
御社は身近なところで言うと医療機器やヘルスケア製品などありますが、FA(ファクトリーオートメーション)機器などの領域も主要な事業になりますよね。IABについて、具体的にどのような組織か詳しくご紹介いただけますか?

鍋島:
IABはオートメーションを事業の中核に置く部隊です。オムロンの技術を通じ、「人の作業を担うオートメーション」(代替)から「機械と人が共に働くオートメーション」(協業)、さらに「人間らしさを引き出すオートメーション」(融和)へと拡張させていき、社会ニーズを満たすべく活動しています。

国部:
人と共に進化するオートメーションの可能性をリードしておられると理解しました。

鍋島:
IABでは,制御機器をはじめとするオムロンが開発してきた何十万、何百万に及ぶ多種多量な製品をパッケージ化し、多様化するお客様の課題に対応しています。

国部:
製品そのものを提供するのではなく、御社の技術・事業・製品で、メーカーのものづくりプロセスに貢献されているのですね。

鍋島:
これまでは、お客様のニーズに応じ、一つ一つの製品を開発していたため、生産上の弱みを抱え、製品をどこにどのように使うか分かりづらい側面がありました。CPUからセンサーまでワンパッケージで様々な製品や技術を統合しソリューションを提供できれば、弱みは強みに変わります。

国部:
鍋島さんのお立場・役割も教えていただけますか?

鍋島:
私は、社内の生産を変えていく生産革新センタに所属し、生産システム領域を主に担当しています。

国部:
生産技術を全社的に横展開される部門なのでしょうか。

鍋島:
はい。特定製品やラインの生産を担う各工場の生産技術部門とは別の部隊で、私たちは横串の組織です。前身であるオムロンカンパニー全体の生産技術部門から、一段階絞られたIAB内の生産技術という位置づけになりました。

国部:
どのような業務を担当されているのでしょうか。

鍋島:
社内の自動化に係る具体的なプロセスを創出する業務に就いています。まさに今回受講したIEのテーマとダイレクトに繋がる活動をしています。今回の研修で取り上げられたIEの戦略や工程分析の手法は、現在事業部で行っている領域とほぼ一致します。

吉田:
コンカレントエンジニアリングにも近い業務も取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

鍋島:
はい。最近の私の業務では、商品開発へ積極的に構造案などを提案し生産性向上と商品仕様の両方が満足するような手法がないか、開発部門とともに進めています。

吉田:
環境に配慮した製品を作るために従来の材料から仕様設計を変えるなど、購買調達や開発から供給された素材をいかにハードに落とし込むかといった検討もされているのでしょうか。

鍋島:
はい。その領域も全般的に我々が担当しています。

国部:
以前から業務でも工程分析の手法は取り入れていたのですか?

鍋島:
設備構築のために機械に対して工程分析の手法を用いる機会はありましたが、前職が設備製作会社であったため、人に対しては行っていなかったですね。

国部:
生産技術の領域で従事されるようになり、生産と開発・設計の橋渡し役として現場の方との接点が増えたと思いますが、何か戸惑いなどはありましたか?

鍋島:
特に大きな戸惑いはありませんでした。なぜかと言うと、システム設計の仕事柄、特定のお客様と深く関わる機会も多く、工場の抱える悩み事を常に耳にしていたからです。人の課題や技術的な課題、モチベーションの問題など様々でしたね。

国部:
現場との距離感が大きく変わったわけではないのですね。

鍋島:
以前は対お客様の情報収集が中心でしたが、現在はヒアリングの機会も増え、より人の内面に踏み込んでいくようになった部分は変わったと思います。

国部:
対象が外部のお客様から、内部の方に変わったイメージですね。

鍋島:
そうですね。前職ではお客様がある程度まで決められたことに対して提案を行っていました。今は現場の状況をヒアリングするだけではなく、それを形にしていく役割だと考えています。

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